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ちゅうにびょう。

木曜日は最も疲れが残りやすく、厳しい1日となりやすい日であるが、水曜日に昼まで寝たので完璧なはずだった。 ・・・しかしながら、疲れからか先輩とともに夕食を摂りつつ饒舌に過去を語るオタクと化してしまった。

労は普通だった。進捗を報告したり、同僚氏がやってるあれこれにケチをつけるいくつかアドバイスをするなどした。 日本側の上司からメールをしたのだけれど間違えて日本側のメールアドレスにしたことに気付き現地のメールアドレスに送りなおしたという連絡があり、久々に日本側のメールを確認するとそれ以外にも思いのほか大事なメールが来ていたので対応したりした。

定時後、先輩氏に晩飯にでも行かないかと誘われ、まぁたまにはそういうのも良い感じがしたので行くことにした。 食事中は何か会話をすることになるが、現世は虚無なので話題は一般的に良く知られた概念であったり、過去の話であったり、そういう感じになる。 今日の僕は疲れからか饒舌で、例えば『n個の中からk個を選ぶ組み合わせはnCkだが、 その組み合わせからペアをとり、いずれのペアも少なくとも1つ共通の要素を持つという制約を加えると(n-1)C(k-1)になってしまう*1』などという話をしてしまうが、当然こんな話は長くは続かないので、漆黒の研究室の話などを話したりした。

修了直前2か月前における、ボス様との愉快なやり取りがGmailに残っており、疲れからか通常時より饒舌かつアクティブな僕は、 その場のノリでそれを先輩氏に見せるなどしてしまった。そこには完全にアウトと思われるボス様からの辛辣なメールとそれに対する僕の返信などが残っていた。

当時の僕の返信に対し『こんな正しい返信は社会人でもなかなか出来ないし、それに対してこんな酷い追い打ちをかけてくるのは普通ではない』という評価を頂いた。もちろん僕は当時自身に出来る最大限の誠意を払って返信をしたし、それに対してあの返信が来たことに絶望した。僕は一体どう返事をすれば良かったのかと絶望した*2。あれからずいぶん経ったが、第三者から見てもどうしようもなかった、そういうことだったのだ。一方でこれは黒歴史時代*3のほんの一部を切り取っただけなので、色々な側面を大局的に眺めながら今思うと、もう少し色々善処できたのではないか、そう思うことがたまにある。

それらを踏まえて、長い目で見て今思うと、もう少し上手なやり方があったように思えるけれど、当時の状況を考えると案外その選択肢は現実的でなかったりするよね、みたいな会話をした。前提が違うと、経験者の意見は全然響かないことがある、自分自身ですら数年前とは考え方、立場が違ったりするのだ。だとすると教訓として自身の経験談を語るのはとても難しい。もしかしたら過去の教訓などを語るのは非常に難しく、どちらかというと圧倒的技量を見せ、現状を背中で語るのが一番カッコいいし、響くし、良い影響を与えるのかもしれないね、みたいな話をした*4

僕自身はもともと理学方面の人間で無理やり工学に飛び込んだけれど、工学において観測出来ない情報が存在する*5といった問題設定を当たり前に出来る文化が根付いている部分*6は非常に魅力に感じた。今だからこそ見えることもありつつ、一方で当時の状況だからこそ悩んでいたことが、今では見えないこともあり、それが当時はずいぶん大きな問題だったりするみたいな状況は結構あるよなぁという感じがした。現実においては『タテマエ』という手法で、そういうものを都合よく回避*7することが多く、結果として過去の教訓はただのマウントと化しやすい。

立場によって同じ問題が大きく見えたり、小さく見えたりするのだ。そして、そういう祖語が、老人と若者、もっと一般化すれば人と人とのギャップを生んでしまうのかもしれない。そういう問題に対して、どうすれば良いかわからないし、自分自身のことですら、少しずつやっぱり当時のことは忘れつつある気もするのだけれど、それでもあの頃の気持ちを出来るだけ忘れないようにしたいなぁと、そんな風に思う今日この頃だった。まぁそういう発想自体がもはや老化なのかもしれないけれど。

まぁそれはともかくとして、僕らは今正しいと思うことをやるしかない。あとから見てそれが正しかったと言えると嬉しいけれど、残念ながらいつだって僕らはすべてを知りえない。

*1:この表現は少し厳密ではなく、そしてシンプルに見えるこの結論はなかなか自明ではない。Erdős–Ko–Radoの定理[Erdős 1961]としてよく知られている。

*2:大事なことなので2度言った。

*3:黒歴史が既に終了したとは言っていない。

*4:背中で語れる圧倒的技量があると仮定しており、現状は無視することとする。

*5:例えばLatent variableを仮定するだとか、Onlineの最適化だとか不完備情報ゲームだとか色々な文脈があるが。

*6:書いていて自分でも当たり前だと思えるのだけれど、現実においてそれをなかなか認められない、完全な情報を得られないことは努力不足だと認識するような人は少なくないような気がする。

*7:現実逃避と言っても良い。