近年コンテンツと連動したコラボカフェが増えている。チャラい*1言い方をすれば、近年はコンテンツを売るというよりは、コンテンツを通じたエクスペリエンス的な何かを提供しようという感じになってきている。コラボカフェもその一環だと捉えることが出来るだろう。
このコラボカフェ概念において、最近パッと見無謀とも思える事例があった。一般にコラボカフェは短い期間限定であることが多いのだが、なんと1年やるというのだ。大体の場合、例えばコラボをよくやる専門のお店があり、その時の旬のコンテンツとコラボをする。要はそういったプラットフォームを用意しておき、コンテンツは短期間で消費していくのがテンプレだ。だからこそ1年という長いスパンのコラボカフェというのは興味深く感じられた。
膨大なコンテンツが生まれ、消費されていく。ほとんどのコンテンツは驚くほど短命だ。長期的な単一コンテンツのコラボカフェ運営は、コンテンツ自体の衰退が起こった時のリスクが大きい。コラボカフェを運営し、短期間で旬のコンテンツを取り入れるのは、リスクも小さく、非常に合理的というわけだ。では、それでもあえて長くすることによるメリットはなんだろうか。例えば長期的だからこそできる企画というのもあるだろう。公式の動向*2との連動とか、そういったものが可能となる。
とはいえ、通常のコラボを生業としているカフェにとっては、前述のリスクをとるほど大きなメリットがあるとも考えにくくて、こういうことをやるのは、そのコンテンツの権利を持つところに絞られる。すべてのリスクをとる代わりに、長期的な連動企画はコンテンツを活性化するツールになりうるし、実際のところ、コラボカフェ運営側の収益になっていたおいしい部分が自身のものになるというのもかなり大きいように思える。
前置きは長くなってしまったのだけれど、とにかく気になるコンテンツだったので、実際見に行ってみることにした。長期的に運用するということで運用コストとか、あとは顧客が繰り返し訪れる仕組みがあるかどうかとか、そういう部分はやっぱり気になる。主にそのあたりの観点で感じたことを述べる。
- たぶんもともと結構おしゃれなカフェ、決して安っぽさはないけれど素材を生かしており、コラボカフェ構築に際してめちゃくちゃお金がかかっているという感じはない。
- 小規模な店舗、最小限のスタッフとスモールスタートな感じだった。
- つまりは失敗したら*3早期終了など容易に手のひらをかえすことは可能だと思う。
- 事前予約(前日まで)をすると来場特典のコースターが2つ余計に貰える(つまり3つもらえる)なおかつ1時間の時間制。需要や処理速度が予測しやすいデザイン。
- コースターが全40種類、1回で3枚もらえてもコンプへの道は遠い。リピートしたくなる。
- 立地が良い*4ので、買い物ついでに来た感じで結構荷物を抱えてる方々もいた。
- 隣が私立の学校、学生さんが来てた*5。
- 球状のシンプルなキャラは汎用性が高い。
- 動物園でも感じたけれど、こういうコンテンツ連動型企画をやるに際して、あまりやりすぎないように*6きちんとガイドラインが定められている感じがする*7。
- 併設のショップはキーホルダーが売ってる。キャラが多いので、有名どころとマイナーな子たちの組み合わせの商品展開。人気キャラを小出しにすることでリピートを促進する狙いもあると思う。有名な子をトリガーにして来た人々が知らない子の魅力に気づいてしまう効果もありそう*8。
というわけで、結構勝負に出たなぁと最初は思っていたのだけれど、場合によってはあっさり撤退できそうなスモールスタート、需要をきちんと把握するための設計、オーソドックスなリテンションのための仕組みを組み合わせた普通に手堅い感じのアレだなぁという印象を持った。とはいえお昼頃に行った割にはずいぶん空いていたので、今後どうなっていくのか、どんな施策を打ってくるのか、色々な意味で楽しみ。
キャラクタービジネス界隈、やっぱり大きな成功事例として外資のネズミさんが挙げられて、商業施設との融合は当然ありうる方向性としてみんな色々頭を抱えているのだろう。某社は最近は都市開発にも手を出したりしてるし、そういう方向性の知見を貯めていきたいという気持ちもあるのかもしれない。
・・・とまぁわざわざ日本まで来たのだから、午前はコンテンツ連動型のカフェに視察*9に行き、午後は井の頭公園で散歩を楽しんだ。モルモットかわいい・・・。夕方以降は仕事をした。